都立高校野球部の新人女子マネージャー・みなみはある日、一冊の本と出合う。それは経営学の父・ドラッカーの書いた『マネジメント』だった。以来みなみはこの経営書を参考に野球部の強化に取り組み、甲子園を目指し始める――。
そんな斬新な発想の本が現在212万部という大ベストセラーに。書評家の大森望さんはヒットの要因をこう分析。「ドラッカーの教えについて説明することよりも、小説としての面白さを優先したことが勝因だと思います」。
ヒロインの女子高生はAKB48の峯岸みなみ(18)がモデル。著者の岩崎夏海さんがいう。「峯岸みなみは高い能力がありながら、ほかのメンバーに比べて心が弱く、いまひとつ殻を破りきれていないように見えました。でも、世の中の大多数の人たちが峯岸に近いと思い、彼女をモデルにしたんです」。当の峯岸は、自分をモデルに小説が書かれたと知り、びっくりしたという。
では、もし家庭の主婦がドラッカーを読んだ場合はどう生かせばいいのだろうか? 岩崎さんは語る。
「みなみが部員に成果をあげさせるために・やりがい・を感じさせたのと同様に、家族に手柄をたてさせるということだと思います。夫には“あなたがいてくれるから、家庭が支えられている”という言葉がけや態度で責任感をつけさせるんです。子供には、たとえ不満をいわれても“あなたのため”と厳しくしつければ、成果をあげられて本人の喜びにつながる。それが10年後、20年後に感謝の気持ちで返ってくれば充分に幸せじゃないですか。基本的には犠牲の精神というか、ギブ&ノーテイクでいけば家庭もうまくマネジメントできると思いますよ」
※女性セブン2011年2月3日号