最近話題のSNS「フェイスブック」。誰がこの注目のサービスを使うと良いか? ITジャーナリストの佐々木俊尚氏が解説する。
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佐々木氏は、フェイスブックがあれば名刺も履歴書もいらないと説く。さらにこういう。
「日本の中高年にはネットでコミュニケーションをすることに抵抗を感じる人が多いかもしれませんが、もうそんな時代ではない。アメリカのあるパソコン販売業者では、ツイッターのフォロワーが250人以上いる人しか採用しない方針といいます。ネット上のコミュニケーション能力は、現実社会のそれと同じだと考えられるようになっているのです。
日本の企業社会ではリストラが進んでいるのが現状で、皮膚感覚として危機を実感している人も多いと思います。日本の中高年の場合、会社に依存しがちで、特に総務や経理、人事などの内勤の人は、社外にネットワークのない人が多い。そういう人がリストラされると、途方に暮れてしまったりするわけです。
そういった人こそフェイスブックに登録して、人事や経理の仕事をしている人々のコミュニティに参加して、ネットワークを広げるべきです。これからは企業と人のつながりが切り離されていく時代です。会社の外に、個人をベースにした人間関係を築くというのは、精神的な安心感を得るうえでも大きいと思います。
人と人のつながりのレベルには大きくわけて、『強い紐帯』と『弱い紐帯』の2つがあります。日本の中高年の男性は“同じ釜の飯”などといって人間関係に強い紐帯を求めがちですが、フェイスブックが実現するのは緩やかで幅広い『弱い紐帯』です。
本当に親しい仲間内だけの強い紐帯のなかにいるとタコ壺化しやすく、新しい情報が入ってこなくなります。むしろ転職や仕事に関する情報というのは、弱い紐帯のなかに流れてくる。いざというときに、支援装置として機能するのは、意外にも弱い紐帯のネットワークだったりするのです。
ですから、フェイスブックを始めるのなら、気楽にどんどん友達を増やしていくことをお奨めします」
※週刊ポスト2011年1月28日号