近ごろ、玉ねぎ、じゃがいもといった国産野菜の値上げが続いている。 “物価の優等生”といわれた卵も12月に前年比13%値上がりし、5年半ぶりの高値水準となった。さらに2月以降にも多くの商品で値上げが予想され、2011年は怒涛の“値上げラッシュ”に見舞われそうだというが、どういう理由で値上がりしているのだろうか。
農林水産省生産流通振興課によると、国産野菜の高騰は“30年に1度”といわれた昨夏の猛暑による影響が大きいという。
「いま売り場に出ているじゃがいもや玉ねぎは夏から秋にかけて収穫され貯蔵されているものです。あまりにも暑かったため、成長が遅れ出荷量が少なくなっています」
秋以降に栽培されているものが出荷されるのは3月ころから。それまでは高値傾向が続きそうだ。また、卵の高騰も夏の猛暑と秋冬の寒波が主な原因。ニワトリが体調を崩して、例年より生産量がダウンしている。
一方、果物は異常に寒かった昨年春先の気候が影響した。
「みかんやりんごは春先の低温で生育が遅れたり小玉になるなど収穫量が減りました。収穫はほぼ終わっているので価格は来シーズンまで高止まりしたままになりそうです」(前出・農林水産省)
野菜や卵だけではない。現在、国内の砂糖の卸売価格は実に24年ぶりの高値。また、コーヒー豆価格の指標となる米ニューヨークのコーヒー相場でも前年比53%に急騰するなど十数年ぶりの高値が続いている。背景には、中国13億人、インド11億人などの“胃袋”が関係しているという。節約アドバイザーの丸山晴美さんはこう説明する。
「経済成長で豊かになった新興国の国民の食卓に、多様な食品が並ぶようになりました。その影響もあり、世界的に食料が不足するようになりました」
もやしの原料である中国産の緑豆は年間収穫量45万~50万トンに対して、いま中国国内だけで年間50万トンの需要があるとされる。このため2009年に比べて緑豆の価格は1.5倍近くにアップ。日本のスーパーでももやしの店頭価格が上がり始めている。さらにえび、鮭などの輸入水産物も新興国で需要が高まっており、今後さらに値上がりする可能性が高い。
※女性セブン2011年2月3日号