ジャパネットたかたの業績は右肩上がりで、この10年で売上高は約4倍に膨れ上がり、2009年度は1491億円、経常利益は約100億円に達した。2010年度の売り上げは1700億円を突破する見込みで、通販業界ではアマゾン、アスクルに次いでトップ3に食い込む。ジャパネットたかた代表取締役の高田明氏に、その秘密を聞いた。そんななか、驚くべき証言が出た。高田氏はCM出演を控えているというのに、会社は成長しているというのだ。
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私の出番はどんどん減らしていて、今は社員MCが中心になっています。私が出なくても売り上げは変わっていないですよ。
販売経路も時代によって変化し、現在の売り上げの比率はカタログ・チラシが1位で約40%。09年はネットがテレビを抜いて2位になりました。チラシは1回に約4000万枚を全国に配布することもあります。
とはいえ、弊社のビジネスはメディアミックスの効果を最大限に発揮させることが特徴で、シナジー効果の大きさでいえばテレビは極めて重要な媒体です。テレビを見た人が、その後ネットで買ったり、あるいはチラシを見て改めてじっくり考えてから買っていただくこともあります。
商品を正しく理解してもらうには、たとえば液晶テレビならサイズが32型というだけでなく、「横何センチ、縦何センチ」という情報も伝えます。そうすればメジャーで測って部屋に設置できるかどうか判断できますよね。
最近のヒット商品に「腹筋ができる座イス」がありますが、「メタボ解消に運動しましょう」ではなく、「これならテレビを観ながら、気が向いた時に10回ぐらい腹筋できますよ」と、使い方も含めて説明しています。
これで大きく成功したのが、ICレコーダーです。ICレコーダーを買うのはビジネスマンが中心でしたが、共働きのお母さんに向けて「お子さんに声で伝言を残すと喜ばれますよ」あるいは、お年寄りに向けて「病院に行ってお医者さんや薬剤師さんから話を聞く時に、録音しておけば忘れずにすみますよ」と、新たな使い方を提案することで、市場が何倍にも拡大しました。
●聞き手・清水典之(ジャーナリスト)
※SAPIO2011年1月26日号