怒れる仙谷由人前官房長官は、代表代行として党の中枢に居座ることが決まると、ただちに実権掌握に動く。
首相官邸には自ら選んだ9人の官房長官秘書官をそのまま残し、子分の枝野幸男・官房長官を通じて「影の官房長官」として睨みを利かせた。党本部では岡田氏から幹事長室を奪って「代表代行室」とし、岡田氏をそれまで枝野氏が使っていた幹事長代理室に追いやった。「仙谷さんが党務を総覧するという“お触れ”」(党スタッフ)という。
さらに院内でも、衆院の国対役員室の隣の広い控え室を代表代行室にして陣取り、「国会の司令塔」として幹事長の頭越しに安住淳・国対委員長を直接指揮する体制を敷いた。
「チーム仙谷」の官邸スタッフは、「岡田さんは統一地方選に大敗すれば責任を問われるし、与謝野さんは消費税増税が失敗した時の捨て駒になる。あとは、追い詰められた総理が破れかぶれ解散に走らないように目を光らせていればいい」と、まるで新内閣を敵と見ているような口ぶりだ。
仙谷氏は官房長官を交代する前に、ポスト菅を見据えた布石も打った。
「チーム仙谷」とは距離を置く経済産業省幹部がいう。
「霞が関が最も注目しているのは、原発や新幹線などのインフラ輸出。これは巨大な行政利権になるが、仙谷さんは官房長官のうちに関係閣僚会議議長として、その仕組みを作り上げた。特にその利権にあずかる経産省と財務省は、仙谷さんが“菅内閣はもう限界だ”とサインを出せば“仙谷政権”に動くかもしれない」
官邸、党、霞が関に手を回して、いつでも菅降ろしを仕掛ける準備を整えているというのだ。
※週刊ポスト2011年2月4日号