与謝野馨氏が入閣したことにより、氏の存在は「反小沢」さえ揺るがす火種になっている。内閣改造後、菅首相は再び小沢切りに向けて攻勢に出た。
仙谷由人氏は腹心の安住国対委員長を通じ、衆院の全委員会の人員を差し替える方針を打ち出して、各議員の希望を調査するためのペーパーを配布した。だが、そこには小沢氏の証人喚問を決める予算委員会と政治倫理審査会を希望する欄が初めからなかった。
親小沢派の議員が国会招致に抵抗しないように、関連する委員会から排除する狙いがある。さらに菅首相は岡崎トミ子氏ら7人を常任幹事会メンバーに追加し、小沢氏が強制起訴されれば、「離党勧告」を決議する構えだ。「小沢が離党勧告を無視した場合、除名しかない」仙谷氏も周辺にそう語っている。
だが、手段は同じでも菅、仙谷両氏の目的は違う。菅首相が意識しているのは小泉首相の郵政解散の手法だ。小沢切りで支持率を回復させ、野党や党内の小沢支持派の抵抗で政権運営が行き詰まれば「消費税と社会保障改革」を争点に、一か八かの解散・総選挙に賭ける。郵政解散の時は、大メディアに熱狂的に報じられた小泉陣営が完勝した。その手法を真似て、菅首相は大メディアを味方につけておきたい。
それに対して、仙谷氏は小沢氏を離党に追い詰めることで党内の権力を一手に掌握しようとしているが、菅首相の消費税増税や政権を失いかねない危険な解散に付き合う気はない。いつ「菅降ろし」に出るかのタイミングをはかっている。
※週刊ポスト2011年2月4日号