大阪・伊丹空港の近く、数分おきに飛行機の轟音が響く豊中市の住宅街に、姉妹が最期を迎えた2LDKの自宅マンションがある。
かつて“お嬢様”と呼ばれた姉妹、奥田紀代美さん(享年63)と久美子さん(享年61)が、このマンションの一室で変わり果てた姿で見つかったのは1月8日のことだった。
鍵とチェーンで二重に閉じられていたドアを警察官らが開けると、台所には姉がうつ伏せに、和室には妹が仰向けになって倒れていた。
居間のテーブルに置かれた財布には90円が残され、1円玉が数枚落ちていただけだった。部屋には一切食料品はなく、姉妹は何日も食べていない状況が続いていたとみられる。姉の体重は37kg、妹は30kgに満たなかった。
「2人とも骨と皮だったといいます。お姉さんの直接の死因は心臓病で、妹さんの死因は現在調査中です。偶然か、ふたりとも発見される3週間ほど前の昨年の12月22日ごろ、同じ日に亡くなったと見られています」(捜査関係者)
“餓死”した姉妹――実はこのふたりは地元でも知られる令嬢だったという。
姉妹の近所に住む親戚のひとりは、驚きを隠せない様子でこう話す。
「土地もたくさん持っていたし、マンションを建てて働かず暮らしていたから“優雅でええな”と思ってたくらいなんです」
しかし、実際の生活は違った。莫大な借金を抱え、電気、ガスも昨年9月から止められていた。倒れた姉妹は寒さをしのいでいたのか、マフラーをまいて、靴下も重ねばきし、上着を4枚はおったままだった。
「奥田さんが生活に困っていたなんて聞いたことありません。昨年夏すぎに見かけたときにも“お変わりないですね”と挨拶したくらいです。まさか、食べるものもないくらいだったなんて…。いくらでも周囲に助けを求められたはずなのに、なんで…」(近所の住人)
※女性セブン2011年2月3日号