いまや「国民病」ともいわれる花粉症。治療は、内服薬や点鼻薬などの対症療法が主だが、症状が緩和されなかったり、長期にわたる例もある。近年、スギ花粉からアレルギーを起こす抗原となるタンパク質を精製し、体内に入れて過敏な免疫反応を抑制する減感作療法が導入されている。従来の皮下注射による治療に加え、液体を舌下から吸収させる舌下減感作療法の治験が進んでいる。
東京都の調査によると、10年前には5人に1人だった20代の花粉症患者が、現在では3人に1人となり、もはや「国民病」ともいわれている。猛暑の翌年はスギ花粉が増えるといわれ、今年は関東地方でも例年の7~8倍の花粉が飛散すると予測されている。
主な治療は抗ヒスタミンの抗アレルギー薬の内服や点鼻薬、目薬の投与、鼻の粘膜表面へのレーザー照射などだが、いずれも対症療法のため、長期間にわたる治療の継続が必要とされる。そこで注目されているのが、減感作療法だ。ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック(東京都品川区)の永倉仁史院長に話を聞いた。
「減感作療法というのは、治療用に抗原を入れて過剰なアレルギー反応を抑制する免疫治療です。WHOでは『根治が望める、また修飾できる唯一の治療手段』と、根本的治療として位置付けています」
※週刊ポスト2011年2月4日号