11歳と7歳の子供を残して逝った人間国宝・中村富十郎さん(享年81)。本人の夢は90歳まで生きて息子・鷹之資に「京鹿子娘道成寺」を踊らせ、富十郎の名跡を譲ることだったという。15年間の結婚生活を妻・正恵さん(48)が語った。
富十郎さんは生前、健康に人一倍気をつかっていたという。医師に塩分を控えてくださいといわれると、一切食べないほどの徹底ぶりだった。
「お医者様も、こんなに厳格に守る人はいないとおっしゃっていました」
そんな富十郎さんの“お達者ぶり”をファンに知らしめたのは、他ならぬ正恵さんとの結婚、そして69歳と74歳にして父親になったことだった。結婚当時は、66歳と33歳の「Wスコア結婚」としてメディアでも大きく取り上げられた。
「もともと結婚するつもりはなかったので、年の差は全然気にしていませんでした。マスコミでは『若い奥さんをもらった』というだけで話題になってしまいましたが、私は新聞に載ったのを見て初めて33歳違うことに気づいたほどで……。結婚はそのときの流れ。主人の何があっても前向きなところに惹かれました」
※週刊ポスト2011年2月4日号