1980年代後半からのバブルで日本企業はアメリカの不動産などを買いあさった。だが、バブルに踊ったのは一般家庭も同様だ。
1987年に公開されたNTT株は、財テクブームに火を付けた。ゴルフ会員権が一般家庭の投資対象となった。あるゴルフ場経営者はこう語る。
「値段が面白いほど上がっていく。メンバーの半数以上がプレーをしない主婦だったというゴルフ場もあった」
好景気を背景に世相も激変した。浅野温子・浅野ゆう子の“W浅野”主演で話題となった『抱きしめたい!』(1988年)や、織田裕二と鈴木保奈美の『東京ラブストーリー』(1991年)などのトレンディドラマでは、主人公の若者たちは眺望のいい高層マンションに住み、スポーツカーを乗り回していた。やや誇張はあるものの、それが当時の若者の日常だった。
冬になると苗場スキー場に出かけ、リフトの1時間待ちは当たり前。クリスマスイブには1泊5万円の高級ホテルに泊まるのがトレンドだった。今年3月に閉館となる「赤プリ」(現グランドプリンスホテル赤坂)は「バブルの象徴」といわれた。
※週刊ポスト2011年2月4日号