消えた年金問題はいまだ収束することがないが、大マスコミは、最初から年金問題を追及する気などないのである。それを物語るのが「宙に浮いた年金」という新聞用語。旧社会保険庁の元幹部が語る。
「5000万件の記録が統合されていないことが発覚したのは2006年ですが、当時はすべてのマスコミが『消えた年金』と書いた。ところが、しばらく経つと厚労省側が“記録は誰のものか分からないだけ。だから、消えたという表現は使うな”とクラブ記者たちに求め、以降、新聞・テレビは『宙に浮いた年金』と報じるようになった」
国民からしてみれば自分の年金が消えたことに変わりはない。この時から大メディアは国民ではなく、役所の代弁者に成り下がったのである。
※週刊ポスト2011年2月4日号