本誌前号では、菅首相に与謝野馨・経財相の起用を進言したのが朝日新聞の編集幹部だったことをスクープしたが、記者クラブメディアはここにきて「親菅」を鮮明にしてきている。
菅首相は官邸からのテレビ演説を検討しているそうだが、既存メディアとのつながりを深める首相と新規メディアを受け容れる小沢一郎氏の姿は、対極的である。1月27日、フリーの記者ら主催による小沢氏の会見の様子は、ネット上の動画配信サービスのニコニコ生中継やUSTREAMなどを通じ配信された。ニコニコ生中継だけでも、約6万人の視聴者が、歴史的な会見の現場を目にした。
その記者会見冒頭、小沢氏はこう語った。
「メディアというよりもその報道の中身が、正しいか間違っているかは別にしまして、それを受け取るのは国民のみなさんですから、できるだけ既存のメディア、あるいはいろんな形で、特に最近はインターネットを始め、いろんな形の媒体が増えていますので、少しでも国民の皆さんに正確な、そして公正な情報が伝わるようにしなくてはいけない。そのために我々もできるだけ、気分的には多少嫌々ながらでも(笑い)、一生懸命努めなければならないと思っております」
小沢氏は会見で、記者クラブメディアに対して「もう、あまり記者会見する意味がないですね」とも語った。小沢氏とフリー記者らが仕掛けた新聞・テレビとの最終戦争。どちらが勝つにせよ、「記者クラブ崩壊」のXデーは確実に迫っている。
※週刊ポスト2011年2月11日号