食生活の欧米化などに伴い増えている大腸がんは、内視鏡検査の普及で早期発見が可能になった。近年ハイビジョン映像の拡大内視鏡が導入され、ポリープ表面の染色後などに拡大観察することで、良性か悪性かの見分けが可能になった。またNBI(狭帯域光観察)拡大内視鏡によって赤血球の特有な波長を抽出することで、1ミリ以下のがんなど、微小な腫瘍も発見できる時代になっている。
厚生労働省の2009年度人口動態調査によると、死亡者数のトップは悪性新生物(がん)で、内訳は肺がん、胃がんに次ぐ3位が大腸がんだ。大腸がんは03年以降、すでに女性の死因トップとなっており、15年には男女ともに1位になると予測されている。
大腸壁は粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜から成り立っており、がんは表面の粘膜固有層にできる。粘膜から発生した大腸がんは、進行するにつれて粘膜下層から固有筋層へと深く浸潤し、リンパ管や静脈を介して転移して全身に広がる。早期ではキノコのように隆起している病変よりも、陥凹型という中心部がへこんでいる病変が悪性度は高い。
国立国際医療研究センター国府台病院消化器光学診療部の為我井芳郎部長に聞いた。
「大腸がん検査は内視鏡検査が有力です。大腸粘膜の微妙な変化やポリープの有無、病変が認められた場合はその形、色調、大きさなどを詳細に観察します。50歳を過ぎると多くの人にポリープが見られます。ポリープとは“できもの”の総称ですが、近年ハイビジョン拡大内視鏡が導入され、ポリープを詳細に観察することで、良性腫瘍とがんの識別が可能になってきました」
ポリープの多くは隆起や僅かな赤みを持った領域として発見される。良性か悪性かを判定するには青色のインジゴカルミンという色素の撒布か、クリスタルバイオレットという色素で病変を染色し、拡大内視鏡で観察する。
(取材・構成/岩城レイ子)
※週刊ポスト2011年2月11日号