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カリスマ旅行プランナー 豪で牧羊犬に噛まれお尻血だらけ

冷え込む旅行業界にあって、年間7億円を売り上げるツアープランナーがいる。

日本旅行西日本営業本部担当部長の平田進也氏(53)は、ツアーの企画から販売、添乗まで担当。メルマガを通して2万人の顧客を持つ平田氏から「モノ売る人々」の法則を聞いた。

●「ニッチ」こそ活路

平田氏のツアーは主婦層を対象とした商品が多い。「私のお客さんは50代を中心としたおばちゃんたち。財布のひもは彼女たちが握っているからね」(平田氏)

例えば北新地が舞台、料金1万円・定員20人の「秘密のランチ会ツアー」。決して、格安商品ではないのに1時間で完売したという。

「“秘密の”としたところがミソ。女性は限定や秘密が好きですから。会場は老舗料亭ですが近頃の社用族の激減でどこも厳しい。新たな客層を呼ぶと店も喜ぶし、割り引きしてもらえる。一方、席がとれない人気店は、繁忙期を外した時間を利用してツアーを組んでいます」。ネットでツアー予約が可能になり代理店の役目が狭まる昨今、平田氏はニッチに注目して活路を見いだした。

●低価格では「価値観」は生まれない

平日の数時間で非日常が体験できるというのがツアー最大の売りだ。高級クラブやニューハーフショーを楽しめる「旦那の代わりに北新地で豪遊、題して仇討ちツアー」は大きな話題となった。平田氏が語る。

「単に豪遊ツアーではどこも取り上げてくれない。主人に対する積年の恨みへの仇を討つという物語が大切です。うちは価格競争には参加しないのがモットー。食べ放題や安売りで客寄せする時代は終わりました」。平田氏は、お客様に満足してもらえる「価値観」の創出こそ必要だ、と説く。

●サービスは過剰が基本

その実現に必要なのは、やはり良質なサービスである。「『ありがとう』といわれるのではまだまだ。『もう十分、参った』といわれるくらい過剰にサービスして初めて『来よう』となる。ニュージーランドに行ったときは、羊の群れに混じって着ぐるみで、ツアー客を迎えた。牧羊犬に噛まれてお尻が血だらけになったけど(笑い)。やはり感動は、“想定外”から生まれるんです」

※週刊ポスト2011年2月11日号

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