――七十にして、心の欲する所に従えども、矩を踰えず(70歳になると、自分の思うままに振るまっても道理の規範から外れない)。
中国の賢人・孔子の言葉だ。
今年76歳になる球界の賢人・野村克也氏(楽天・名誉監督)が、心の欲する所に従って書いた『野村の実践「論語」』(小学館刊)が評判だ。自身の考えと論語の共通点を解説した、ビジネスマンへの指南本である。
先日行なわれた出版記念のサイン会には100人を超えるファンが押しかける人気ぶり。米大リーグ・アスレチックスの松井秀喜も本書の読者の一人だと聞き、「第4章『礼節を知り、徳を磨く生き方を学ぼう』、次に第1章『絶え間なき自己研磨が人間力を育てていく』をよく読んでほしい」と破顔した。
共に参加した沙知代夫人も「本当にありがとうございます」と、サインを書く監督の横で、来場したファンに丁寧にお礼を述べた。
そういえば、『野村の実践「論語」』に、こんなことが書かれている。
「“控えめな生き方”を忘れてはならない」
「権威を振りかざし、威張っていても人はついてこない」
さすが監督、「実践論語」は妻の心には完璧に届いているようで。
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2011年2月11日号