「今日のお昼は中華定食にしよう!」ということで、雑誌『料理王国』元編集長の土田美登世氏がセレクトした、『新竹』(東京・御徒町)の「日替り定食」を紹介する。
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味が濃いこと、油をたっぷり使うこと、風味のベースはネギとショウガと醤油。これが「客家」(はっか)と呼ばれる漢民族の料理の特徴なのだそうだ。台湾出身の中林寿子さんが切り盛りする『新竹』で出てくるおかずはこうした客家料理ばかりである。
2品のおかずがついた定食はランチタイムのみで、月曜日だけ「豚バラ肉の煮込みと麻婆豆腐」と決まっているが、他の曜日はその日の厨房しだいでメニューが変わる。個人的に好きな一品は「客家高菜と挽き肉の炒め物」だ。客家高菜とは、高菜を塩漬けして乾燥させたものである。
この高菜には酸味とうまみが凝縮されていて、肉と一緒に炒めると味がとてもよく出る。定食になかったら毎日の丼で登場しているし、ディナーには何年も乾燥・熟成させた特別な高菜を使った「梅菜コウ肉」(メイツァイコウロウ。コウは「手偏に口」)としてメニューに載っているのでどうぞ。
「おふくろの味の中華といったらコレだよ」。そう思えるメニューの数々をお楽しみあれ。ご飯片手にね。
■『新竹』の「日替り定食」800円
(写真は「客家高菜と挽き肉の炒め物」と「青菜の炒め物」)
【住所】東京都台東区台東3-14-9水野ビル1F
【営業時間】11時半~14時、18~22時
【定休日】土日祝
【カード】不可
仲御徒町駅から徒歩5分にある家庭的な台湾料理の店。伝統的な「客家料理」の味を守っており、それを懐かしむ人たちが遠方からも訪れる。ランチタイムには定食のほか、丼や麺類、ビーフンなど15種類を用意。なかでもビーフンは「客家」らしい食材のひとつでボリューム満点の「ビーフンの炒め物」は特に人気だ。夜の宴会は5名からで1人2625円~と安い
撮影■河野公俊
※週刊ポスト2011年2月11日号