介護のケアプランを作成するケアマネジャー(ケアマネ)選びは、質の高い介護サービスを受ける上での重要なステップだ。まずはケアマネを複数人抱える事業所から選ぶことだ。
介護保険は制度変更が頻繁に行なわれることに加えて、地域差もある。一般的に、所属するケアマネが多い事業所の方が、情報収集能力に長けている。また、ケアマネと本人の意思疎通が上手くいかない時、複数人体制の事業所であれば、すぐに交代が可能になる。
次に、ケアマネの「基礎資格」をチェックすること。ケアマネになるためには、看護師や介護福祉士、社会福祉士、理学療法士など、介護に親和性の高い国家資格取得者で、5年以上の実務経験(ヘルパーなど)があることが条件。基礎資格を確認すれば、そのケアマネの得意分野を推し量ることができる。
例えば、病気を多く抱えている場合、ケアマネが元看護師だと医療知識や看護技術を持っているのでとても助かる。障害を持っていれば社会福祉士、精神障害があれば精神保健福祉士を選べば、それぞれの介護実態に合ったケアプランを作成してくれることだろう。
いいケアマネを選べたとしても、ケアプランの作成を丸投げしてはいけない。まず家計の現状をよく把握した上で、月々に使える介護費用の上限を設定して、ケアマネに「この金額までなら捻出できる」と伝えよう。1割負担とはいえ、介護サービス代の経済的負担は決して軽くない。家計が破綻したら元も子もないので、隠さずにケアマネに相談した方がいい。
金額を抑えるには、受けるサービスの「時間と回数」を減らす方法が有効だ。ケアプラン作成時にケアマネから渡される〈週間サービス計画表〉や〈居宅サービス計画書〉の中の「頻度」と「期間」という欄を調整する。例えば、デイサービスは1日8時間が一般的だが、5時間などと短く設定する方法もある。
要介護度が同じであれば、同じサービスは同じ値段が基本だ。だが、「入浴」の例でいえば、事業所によって個浴や機械浴など、細かいサービスが提供されるところと、そうでないところがある。事業所ごとにどうなっているか、調べることが必要だ。
デイサービスの場合、送迎手段として、指定場所まで行ってバスを待つ「バスストップ型」、送迎車が自宅玄関前まで来る「ドアto ドア型」、ベッドまで迎えに来る「ベッドto ベッド型」の3パターンがある。「バスストップ型」だと単に面倒なだけではなく、指定場所まで行くためにヘルパーに頼まなければならないこともあり、その分の費用がかかる。そうした細かい点まで踏まえて、サービス事業者を選択することが望ましい。
そのために、事業所に作成が義務づけられている〈個別サービス計画書〉を必ずチェックしよう。
※週刊ポスト2011年2月18日号