少なく見積もって13億人と言われる中国人の拡張し続ける胃袋は、日本のみならず世界の食卓を一変させてしまう可能性がある。評論家、宮崎正弘氏が世界の食糧資源に危機をもたらす中国人の食の現在を解説する。
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「寿司」が中国の都市住民のステータスとなっていることはよく知られている。中国国内には「回転寿司店」が増えているが、外から見えるガラス張りの造りが目立つ。街行く人に「回転寿司を食べている姿」を見せて自慢しているのだ。だから、彼らは高級マグロを大量に買い付けるのである。
中国の一人当たりの水産物消費量は、1990年は約10キロだったのに対し、現在は25キロを超えている。
そのことで、マグロに限らず、エビやサケ、イカなど輸入比率が高い水産物では価格が押し上げられ、日本の業者が「買い負け」ている。
また、1月5日付NYタイムズ社説では、いくつかの種類のサメが絶滅の危機に瀕していると警告しているが、記事では、世界で年間1億匹以上捕獲されるうちの7300万匹が高級食材「フカヒレ」を得るためだけに“殺され”ていると書いている。もちろん、フカヒレを食べるのは中国人だけではないが、彼ら13億人の旺盛な食欲は、一つの生物種を絶やしかねないほどの影響力があることを肝に銘じなければいけない。
※SAPIO2022年2月9日・16日号