角界の「最大の汚点」となった今回の八百長問題だが、それは今に始まったことではなかった。そんな中にあって、貴乃花親方(38)は決して八百長をしない“ガチンコ力士”だった。
そしてもうひとり“ガチンコ相撲”で横綱まで駆け上がった男がいる。いま、“スイーツ親方”として人気を集める芝田山親方、元大乃国(48)だ。
1990 年代から、八百長の実態を主に『週刊ポスト』誌上などで実名で告発してきた元小結・板井圭介氏の著書『中盆 私が見続けた国技・大相撲の“深奥”』(小社刊)によれば、その大乃国も十両から幕内に上がるころは八百長をやっていたといわれる。当時、彼は先輩から持ちかけられた八百長を渋々受けていたが、師匠に厳しく叱られ、八百長からは足を洗ったという。ちなみにこの師匠が、現在の放駒理事長というのは何の因果か。
「大乃国に八百長を断られた八百長力士たちは、卑劣な手段を使うようになったそうです。本場所中、支度部屋では誰も話しかけず、無視したり、ときには化粧回しを隠したり、巡業では、八百長力士で土俵を囲み、リンチまがいの稽古まであったといわれています」(元力士)
前述の『中盆』によれば、自らも八百長に手を染めていた著者・板井氏も、立ち合いで大乃国の顔面に張り手を見舞わせ、ノックアウトしたこともあったという。
<以来、大乃国と手の合わない力士たちが「今日も一発お願いします」と支度部屋でわざわざいってくるので、私もついついエスカレートして張り手を連発していた>(『中盆』より)
八百長力士たちは星(=勝ち星)を互いに回し合うことによって、地位と、それにともなう金銭を守り合う“互助会”を形成していたのだ。
“互助会”に逆らい、八百長にNOを突き付けた貴乃花親方やスイーツ親方が孤立を深めたのは、それほど角界に八百長が蔓延していた現実を物語っている。
※女性セブン2011年2月24日号