これからの高齢化社会、ますます介護の必要性があがっているが、公的な介護保険の欠点は、現金支給ではなく、指定された介護サービスに対する補填(現物支給)であるということ。その点、民間生保が扱う介護保険は、一定の要介護認定を受けた時点で支払われる「一時金」や、それから死亡するまで月々に受け取れる「年金」などの現金支給なので、公的な保険を補うものとして一考の価値がある。
しかし、安易に飛びついてはいけないと、ファイナンシャルプランナーの藤川太氏はこう指摘する。
「介護に備えるのならば運用期間を十分に取れるので、貯蓄や投信など、他の金融商品で運用した方が有利な場合が多い。そもそも保険料が高く、受け取れる年金や死亡給付金は、払込保険料の総額を下回るケースが少なくありません」
そこで、財務支援研究所代表の小島宏之氏はこうアドバイスする。
「終身介護保険の保険料の全額を一度に支払ってしまう『一時払い』という方法が効率的です。サラリーマンであれば、退職金というまとまった資金を手にするので、そこから捻出してみてはどうか」
たとえば、ソニー生命の「終身介護保障保険」に約416万円を一時払いすると、「要介護2」以上に認定された場合、一時金として60万円が支払われ、年額60万円の介護年金が死亡するまで給付される。6年間受け取れば元が取れる計算だ。
もし介護状態にならずに死亡しても、420万円の死亡給付金を受け取れ、要介護期間が6年未満で亡くなったとしても、420万円から支払われた給付金を引いた額が給付される。つまり、“元本割れ”のリスクはない。保険料の支払い方法は、「一括払い」を選ぶのが得策だろう。
※週刊ポスト2011年2月18日号