特別養護老人ホーム(特養)には長蛇の列ができている。厚労省の調査によれば、2009年12月時点の入所希望者は42万人。10年後、特養ホームの行列は解消されているのだろうか?
今はまだ元気な高齢者や、そうした親を持つ家庭では、今よりもむしろ10年後に、施設介護がどういう状況になっているか気になるところだろう。厚労省は2009~2011年度までの3年間で、全国に特養などの介護保険施設を16万人分整備するという目標を掲げている。だが、2010年度までの2年間で確保されたのは8万7000人分と、目標の半分にとどまっている。社会保障論が専門の結城康博・淑徳大学準教授が指摘する。
「これから団塊の世代が介護される時代を迎え、要介護の高齢者は増え続けるので、抜本的な待機者解決策は難しい。10年後には、現在よりも深刻な状況になる可能性が高い」
厚労省は現在、在宅介護のサービス拡充を検討しているが、そこには「在宅介護が増えれば、施設を増設する必要が少なくなり、その分、公費負担が減る」(厚労省関係者)という狙いがある。
「導入が検討されている24時間訪問介護にしてもヘルパーが四六時中来てくれるというわけではありません。やはり施設と在宅は、同時に整えることが必要です」(前出・結城氏)
では、どのような備えをしておけばよいのだろうか。高室成幸・ケアタウン総合研究所所長がいう。
「捻出できる介護費用を計算した上で、在宅介護か施設介護か、施設なら特養か有料老人ホームかなど、どういうスタイルで介護を受けたいか、もしくは自分の親に受けさせたいかを明確にしておきたい。準備は早いに越したことはありません」
費用などを検討し、もし特養を希望するのであれば、新設される施設の情報収集をする。新設であれば短期間に60~100床の高齢者を受け入れる。また、「最初から要介護度の高い人ばかりだと大変だから、要介護度の低い人も受け入れる」(特養で働くケアマネジャー)という。
※週刊ポスト2011年2月18日号