粘膜固有層に留まっている大腸がんは転移の危険性はないため、内視鏡による治療が可能だ。粘膜からキノコのように隆起している場合は、根元に輪になった電気メスを巻きつけて通電し、切除する。平坦、あるいは陥凹形状の早期がんについては、がんの下に生理食塩水を注入後、電気メスでがん病巣のみを薄くはぎとる、粘膜切除術で治療が可能だ。
早期の大腸がんはその形によって隆起型、平坦型、陥凹型(一部が凹んでいる)に分類される。
がんが大腸表面の粘膜固有層に留まっている場合は転移する危険性は少ないが、その下の粘膜下層に深く浸潤すると転移の可能性が生じるため手術で周囲のリンパ節なども含め切除する必要がある。
その下の固有筋層に達すると進行がんとなり、肺や肝臓などに転移するリスクが格段に高まる。また、陥凹型のがんは5~7ミリの大きさで粘膜下層に浸潤する傾向にあり、悪性度が高いといわれる。
国立国際医療研究センター国府台病院消化器光学診療部の為我井芳郎部長の話。
「早期がんは内視鏡で根治できます。キノコのように隆起しているポリープは、根元にスネアという輪になった電気メスをかけて通電し、切除します。平坦型や陥凹型の病変では、粘膜下層に生理食塩水を注入して隆起させ、スネアで切除する内視鏡的粘膜切除術(EMR)で対応が可能です。多くは外来通院で治療が可能で、安全性もほぼ確立されています」
取材・構成■岩城レイ子
※週刊ポスト2011年2月18日号