公的な介護保険制度の枠内ではなく、民間企業が独自に提供する介護サービスも数多い。中には、サービスを受ける条件として、要介護認定を必要とするものもある。公的な介護保険サービスと併用すれば、リーズナブルで快適な介護ライフを送ることができる。
ANAやJALなどの航空会社は、飛行機チケット代の「介護割引制度」を提供している。遠方に介護が必要な親族がいる場合、航空運賃を35~40%程度割り引くというもので、介護のために年に何回も遠隔地を往復する人にはうれしいサービスだろう。
サービスを受ける条件は、2親等以内などの親族が、要介護か要支援の認定を受けていることだ。割引の対象は、自分と要介護親族の住まいの最寄りの空港を結ぶ路線で、チケットを予約する前に別途登録が必要になる。
要介護者が、病院に出かけたり、施設の通所介護に行ったりする時に便利なのが「介護タクシー」だ。タクシーの運転手が要介護者の車の乗り降りをサポートしたり、車椅子のまま乗り込めるワゴン車を使えるなどのサービスが提供されている。
関東圏で介護タクシー事業を展開する「ウィル介護タクシーグループ」の金子竜也社長がいう。「要介護のお年寄りにとっては、移動は大変な手間と労力がかかる。だから、外出がおっくうになってしまい、家に閉じこもってしまうケースも少なくない。介護タクシーなら家族の負担を軽減して、気軽にお年寄りが車で移動できるところが好評で、利用者も年々増加しています」
運営業者は、介護事業者やタクシー会社、NPO法人など多様で、料金設定にも幅があるので、利用時には個別に確認しよう。一部は介護保険制度が適用される。
居宅向けの介護保険サービスで足りない部分を補ってくれるのが、民間業者の「家事代行サービス」だ。ダスキンやニチイ学館などの大手介護事業者は、家の掃除や買い物、病院やスーパーに行く時の付き添いなどのサービスを行なっている。
家で火を使う料理などが難しくなってきたら、「配食サービス」の利用も一考だ。民間の給食会社や弁当会社、コンビニなどが展開しており、糖尿病など特定の疾病を抱えた要介護者向けの治療食もオーダーできる。
※週刊ポスト2011年2月18日号