メールという証拠の登場で、ついに存在が明らかになった大相撲の八百長。八百長力士たちは、星(=勝ち星)を互いに回し合うことによって、地位と、それにともなう金銭を守り合う“互助会”を形成していた。
八百長を斡旋する“互助会”の手口には、こんな技まであるという。元力士が証言した。
「ある力士の母親が病気と聞くと、“今日の一番で転んでくれれば、星のお金以外に懸賞金(1本の手取り・3万円)も全部渡すよ。それを母親の治療費に使ってやれよ”と持ちかけるんです。母親の入院費捻出のために、これまでガチンコだったが、仕方なく星を売ったという地方出身の力士もいました。1つ売れば50万円。4つ売れば200万円になる。一度でも甘い汁を吸うと、もう抜けることができないのが八百長の世界なんですよ」
また本場所以外の地方巡業中も八百長への誘惑はあるという。
「地方巡業で行った土地出身の力士に、“今日は知り合いがたくさん来ているだろう。転んでやるよ”と横綱や大関といった三役クラスにいわれると、思わず“ごっつあんです”となる。あとは本場所で“今回は顔を立ててよ”といわれて…」(前出・元力士)
また怪我やスランプによって八百長に手を染めていく力士も。
「どんなに強い力士でも怪我で相撲が取れなくなる時期がありますし、取り口を研究されてスランプになることもあるんです。気持ちが落ち込んで、勝てなくなったときについ手を出してしまうのが八百長。“今場所は大変だろう。3、4番は回してやるよ。あとで返せばいいんだから”と囁くわけです。こうして八百長の仲間が増えていく」(前出・元力士)
そうしていつか、相撲界全体が八百長で覆われていたのだ。
※女性セブン2011年2月24日号