投資情報会社フィスコ編集部長の中村孝也氏が、これから「上がる株」として注目しているのは「日本通信」(ジャスダック・9424)だという。以下、中村氏が解説する。
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携帯端末に入っているSIMカードはひとつの携帯電話会社でしか使えないようになっているが、そのロックを解除し、カードを差し替えることで様々な端末を使えるようにすることをSIMロックフリーという。今年4月から日本でもその取り組みが本格化するため、株式市場では注目テーマに急浮上している。そこで本命視されるのが、昨年春からスマートフォン関連ビジネスを強化し、すでにSIMロックフリー対応製品を発売している通信ベンチャーの日本通信だ。
国内版「iPhone4」は、SIMロックによりソフトバンクモバイル契約者以外は利用できない。しかし、海外の多くの国で販売されているiPhone4はSIMロックがかかっていない。日本通信が販売しているSIMカードを使えばドコモ回線でも利用可能となるため、販売が拡大している。
それが寄与し、大幅な赤字が続いてきた同社の業績は、2011年3月期第3四半期(2010年10~12月)で営業利益が黒字化した。通期業績でも赤字の減少傾向が見られる限り、注目度がそがれることはないと見る。
今後も、携帯電話の端末と通信サービスの自由な組み合わせを可能にするSIMロックフリー関連製品の販売網構築を加速していくとしているが、関連ビジネスを先取りして進めている同社は優位性を発揮しそうだ。
また、同社は、スマートフォン向けIP電話関連サービスを一部機種ですでに手掛けていたが、アンドロイド(グーグルの携帯向けOS)携帯向けIP電話サービスへ本格参入。基本料と通信料を携帯キャリア大手3社の半額程度に設定し、加入者の拡大を狙っている。携帯キャリア大手は通話料収入の減少につながるため、IP電話の導入に消極的だったが、同社の参入が値下げ競争につながる可能性があるなど、話題性に事欠かない。株価の上昇余地はまだまだ大きい。
※マネーポスト2011年3月号