強制起訴され、菅直人首相から党員資格の停止を迫れられた小沢一郎・元民主党代表は、週刊ポストのインタビュー(1月1・7日号)で、「私は地元が支えてくれるから大丈夫だが、普通の政治家はマスコミに叩かれたらすぐに選挙で負けちゃう」と語った。
マスコミに土下座する菅氏らは、せいぜい「普通の政治家」で、総理の器ではなかったということかもしれないが、その菅氏に最後に残された武器が解散だというのは皮肉というしかない。
やるならやればいい。前代未聞にして、国民にとっては痛快な結末を迎えるだろう。選挙分析に定評のある政治ジャーナリスト・野上忠興氏が語る。
「地方選挙が政治の流れを先取りすることはよくある。国民は民主党の公約撤回を政権交代への期待を裏切ったと怒り、愛知のトリプル選挙(県知事、名古屋市長、名古屋市議会のリコール)ではそれが爆発した。菅首相が解散を打てば、民主党には郵政選挙以上の逆風となる。特に菅首相、仙谷代表代行、野田財務相など政権中枢の政治家たちには有権者の怒りが集中的に向けられる。対立候補次第では、現職総理の菅氏を筆頭に、現職閣僚が枕を並べて討ち死にする事態も考えられる」
すでにその予兆はある。次の総選挙で躍進を狙うみんなの党の渡辺喜美・代表は、「消費税引き上げ反対を掲げて、菅首相の東京18区に鞍替えする」というプランを密かに練っている。
郵政選挙で菅氏は自民党新人に落選ギリギリまで追い詰められたし、菅氏のお膝元である西東京市で昨年末に行なわれた市議選では、民主党は7人の候補を擁立して4人が落選。当選した3人も下位で、民主党の得票率はわずか15%に過ぎなかった。むしろ菅首相の苦戦は必至の情勢なのだ。
また、仙谷氏の徳島1区は自民党の対立候補は決まっていないものの、昨年の参院選で民主党は自民党の30歳の新人に苦杯をなめた。地元の自民党関係者からは、「徳島3区の後藤田正純代議士の夫人で女優の水野真紀さんは人気が高い。1区から出馬すれば仙谷に勝てる」との声が上がる。
野田財務相の千葉4区には郵政解散で野田氏とわずか900票差にまで詰めた自民党元職の対立候補がいる。“次期首相候補”も、国民に背を向けて増税を推し進めれば、当落線上をさまようことは間違いない。
※週刊ポスト2011年2月25日号