最近は社員研修に自衛隊への体験入隊を取り入れる企業が増えている。電気工事会社「六興電気」社長の長江洋一氏がその利点を語る。
「研修の目的は『マナー改善』と『決断力の養成』です。例えば、今時の若い子は、『8時集合だ』というと8時に来る。そうではなくて、事前に準備を整えて8時に仕事をすぐに始められるようにしておくのが本当の『集合』の意味なのです。こうした基本的なことも自衛隊で教えてもらえる」
体験入隊は、全国各地の駐屯地で行なわれ、概ね2泊3日食事付きプランで1人あたり7000~8000円で参加できる。
「入社シーズンに合わせ、例年3月下旬から4月上旬にかけて実施しています。訓練内容は、整列の仕方などの『基本教練』、『体力測定』、『ロープの結び方』を基本に、各部隊がそれぞれ訓練メニューを作成します。規律や団結力の強化が狙いですので、危険な訓練は実施しません」(大宮駐屯地広報班)
整列で靴紐が少しでも緩んでいようものなら、「反省」の腕立てが、連帯責任として全員に課せられる。ユルユルの日常生活を送ってきた新入社員や若手社員にとっては、決して楽ではない。
だが、体験入隊を行なった企業の人事担当者からは「自信を得たのか、背筋がぴんとして、印象が変わった」、「同僚とのチームワークを大切にするようになった」など、“喜びの声”が寄せられる。
※週刊ポスト2011年2月25日号