スピリチュアルブームに沸くニッポン。毎週のように全国どこかの都市で、「スピリチュアルの見本市」と呼べるような、グッズが買えたり、スピリチュアル体験ができるイベントが開かれている。その中のひとつに、SAPIO誌記者が潜入した。
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会場となっている某大都市の商業ビルのイベントフロアに到着すると入り口には「撮影禁止」「研究目的の取材・体験お断り」と警戒心を露わにした大きな貼り紙が目に付く。 入場料1500円を支払って中に入った。
会場は大きめの披露宴会場ほどの広さだろうか。各ブースに会議用机とパイプ椅子が置かれ、学園祭の模擬店のような雰囲気。
イベントは、ヒーリングショップ、霊能者などの業者や個人が約70組出展しており、手頃な価格で様々なスピリチュアル体験ができるという趣旨だ。宗教に関わる個人・団体は出展できないのだそうだ。スピリチュアルに癒しを求めている人が多いのか、盛況だった。
会場にいたのは出展者と客を含めて150人ほどで、9割ぐらいが女性だ。若い女性客ばかりかと思いきや、客層は幅広く、子供連れの一家や高齢の夫婦、外国人も見かけた。
どのブースから試そうかとウロウロしていると、20代前半とおぼしき小柄で可愛らしい女性が話しかけてきた。
「DNAは24本あって、人間は2本しか使ってないことをご存じですか?」
何を言っているのかまったく理解できないが、いきなりハートをわしづかみにされた。話を聞くと、この女性は「DNAアクティベーション」という施術をするチャネラーで、残り22本のDNAを活性化し、人の能力を最大限に引き出すという。すぐさまやってもらう。3500円なり。
パイプ椅子に座らされると、背後で女性が手を動かし、何かつぶやいている。その後、立ち上がるように促され、「エネルギーを共有するため、私とハグしてください」。まさかこんなところで、若い女の子とハグすることになるとは。
再び椅子に座らされ、女性は「クリスタルワンド」という小さな水晶の杖を取り出して、背後で何か作業をして終了。最後にまたハグを求められたが、これは何か効果があるわけではなく、ただのあいさつだそうだ。
ハグ以外はただ座っていただけなので、何をしていたのかさっぱりわからない。あとでほかの人への施術を観察したところ、クリスタルワンドの先端から出る光をうなじに当てていた。ゲームのファイナルファンタジーみたい。
※SAPIO2011年3月9日号