チュニジア、エジプトで起きた騒乱は中国にとって他人事ではない。胡錦濤政権はツイッターやフェイスブックへの警戒を強めている、とチャイナウォッチャーのウィリー・ラム氏は指摘する。
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中国共産党指導部は、チュニジアの独裁政権を崩壊させたジャスミン革命や、30年近く独裁体制を敷くエジプトのムバラク政権を揺さぶる反政府デモに強い危機感を抱いている。北京の消息筋が明らかにしたところによると、胡錦濤主席は1月下旬、党・政府の治安・言論に関する各部門に対してネットメディアへの規制を強化するとともに、中国の社会的、経済的な矛盾につけ込んで共産党政権を倒そうとする「敵対勢力」への監視を強め、その動きを封じ込めるよう指示を出した。
チュニジアやエジプトの騒乱はいずれもフェイスブックやツイッターなどインターネットにより、情報が急速に伝わりデモが拡大した。中国では2008年の北京五輪前後に、ユーチューブやツイッター、フェイスブックが何の予告もなく突然アクセスできなくなり、基本的にブロックされたままだ。この点では、中国のネット対策はチュニジアなどよりも格段に進んでいることは間違いない。
しかし、中国には人口の3分の1以上の4億5000万人ものネットユーザーがおり、ブログや掲示板機能を持つポータルサイトなどが急速に普及している。これらのネットメディアに、ひとたび反政府的なメッセージが書き込まれ、デモや集会への参加を呼びかけられれば、中国でもチュニジアなどと同じような騒乱状態が起きても不思議ではない。
※SAPIO2011年3月9日号