“八百長ショック”の影響を受けているのは、相撲協会だけではない。とりわけ深刻なのは、大相撲のチケット販売の8~9割を担っている「相撲茶屋」だ。茶屋は相撲協会から場所前に枡席(4人分)のチケット(9000円程度)を買い取り、販売手数料や提供する飲食品代、お土産代を上乗せすることで、チケット価格を3~5倍にして一般客に売る。客が来場した際には飲食物を振る舞い、帰り際に陶器や漆器、湯飲み、タオルなどを渡す仕組みだ。
相撲協会は茶屋にチケットを販売したことですでに収入があるが、場所が開催されないため、茶屋は事前に買い取っていたチケットや発注済みの土産物だけが手元に残る。
現在、茶屋8軒でつくる大阪相撲案内所組合は相撲協会とチケットや土産物の賠償額について調整中。大阪相撲案内所組合・清水武組合長は「組合全体で億単位の営業収益が失われ、生計にかかわる」と語る。
部屋が利用する宿舎もキャンセルになり、宿側は大打撃。「同じ時期に別の団体客からの申し込みもあったのですが、相撲部屋からの予約があったのでお断りしたんです」(府内のホテル関係者)と肩を落とす業者も。
さらに青ざめているのが、近隣の飲食店関係者だ。北新地の飲み屋の店長の話。
「お相撲さんたちはホンマいいお客さんなんですよ。うちの店では1年の売り上げの約3分の1を春場所のある1か月で占めている。中止はまさに死活問題です」
関係者がこんな悲鳴を上げる一方、八百長にかかわった力士たちには通常通りの手当が支給されることが決まった。
※女性セブン2011年3月3日号