学生たちは就活の「答え」をどこに見出せばいいのか、もがき苦しんでいる。しかし、彼らの思いとは裏腹に、企業側の採用担当者たちは、「学生は努力の方向性を間違えている」と感じていた。現役就活生の声を数多く知る大学ジャーナリスト・石渡嶺司氏の司会のもと、採用担当者がホンネを明かした覆面座談会で語られたこととは……。
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アパレル企業採用担当:ここ数年、学生たちは「決まった答え」を求める傾向が強くなっていると強く感じます。説明会などで学生から、「面接では、“頭いい感じ”でアピールしたほうがいいんでしょうか? それとも“自分をさらけ出す”ようなやり方がいいんでしょうか?」という質問がよく出る。
――「マニュアル」を欲しがるんですね。私もよく「ノックは2回ですか? 3回ですか?」などの質問を受けます。
アパレル:ドアなんて「叩きたいだけ叩け」としか答えようがない。面接でのキャラクターにしても、自分で決めるべき。偽りの自分を見せて内定しても、あとあと本人にとって幸せにはならない。
外食産業採用担当:似たような話では、うちは「私服可」としている説明会にリクルートスーツで来る子が多くなった。以前は3~4割が私服だったのが、ここ1~2年で1割くらいまで下がった。氷河期としきりに言われるので、「失敗したくない」という消極的思考が表われているのでしょうか。
出版業界採用担当:危機感が悪いほうに働いている気がします。同業他社から聞いた話ですが、「私服可」だとスーツで来るから、「リクルートスーツは御遠慮ください」とアナウンスしているそうです。でも、そうすると人事に「私服はどういう服装がいいのか?」と問い合わせがある。
アパレル:そんなことで電話してくるんですか!
出版:しかも、本人じゃなくて親から(苦笑)。
――さらに、掲示板サイトでは「人事は説明会の私服をチェックしている」と話題になっていたりします。皆さん、そんなに暇じゃないですよね(笑)。
※SAPIO2011年3月9日号