八百長問題で揺れる角界。3月の春場所が中止になり、力士に無断外出禁止の通達が出るなど、まさに前代未聞の事態。そんななか、都内某所にあるA部屋のおかみさんがあえて重い口を開いた。
「私の部屋には、八百長をやっている力士はいません。ただ、相撲界で八百長が起こった責任は、私たち、おかみにもあると思うんです」
その責任とは、力士たちを「甘やかしすぎたこと」だとおかみさんはいう。
背景にあるのは、若貴ブームが去った後の入門者の減少。相撲部屋への入門者数は、相撲人気が盛り上がっていた1990年代には年間200人を超えていた。しかし日本人横綱の不在や、野球賭博問題など不祥事も影響して、最近では半数以下の年間80人程度にまで激減してしまった。
相撲部屋の数は現在約50なので、新弟子は1部屋あたり毎年1~2人しかはいらない計算になる。
「私の部屋も力士が多いときは10人以上いましたが、いまはずっと少ないですね。せっかく入門してきたのに辞められたくないから、新弟子はわざわざ親方の部屋に呼んで好きなものを食べさせる。携帯電話も本来はある程度の地位に上がるまで禁止だったのですが、いまは大目に見ています。甘いといえば甘いのですが、そうしないとすぐに故郷に帰ってしまうんです」
部屋での集団生活もかつてとは大きく変わったという。
「昔は幕下以下の力士たちは大部屋で共に寝起きし、テレビも部屋に1台しかないのが当たり前。見たい番組があっても我慢するしかなかった。でも、いまはカーテンで部屋を区切って、1人1台ずつテレビを与えています」
※女性セブン2011年3月3日号