少子高齢化に伴って医療、年金、保険制度……高齢者を取り巻く“環境”は悪化している。それを何より敏感に感じ取っているのが当人たち。“ニッポンの大問題”を確かめるべく、高齢者100名余にアンケート取材を実施してみると嘆息、小言が出るわ出るわ。一人は、こう怒りをぶちまけた。必死に頑張って国をここまで豊かにしてきた世代を“逃げ切り世代”とは何事ぞ─―。
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●フーゾク店員の気遣いはいらない
高齢者の性の問題に関しては、こんな声も聞かれた。「妻が先に逝ってから、すっかりご無沙汰。勇気を振り絞って風俗に行くと、『お客さん、大丈夫ですか? 系列には高齢者専門のソープもありますけど』といらん気遣いをされてしまった。年は取ったが、精力は衰えていないぞ」(元生保マン・69)
●3年目の女子行員にお茶を出した
高度経済成長を支えた団塊世代も、いまや還暦を過ぎる。彼らの悩みも深刻だ。定年後も、嘱託として大手銀行に勤める62歳男性が打ち明けた。「60歳で定年となり、嘱託としてロビーの案内役で雇用されている。けど、3年目ぐらいの若い女子行員にアゴで使われるのは屈辱以外の何物でもない。こないだはお茶くみまでやらされた。40年ぶりですよ……」――社内で足げにされながら、堪え忍ぶ日々だという。
●年齢制限「49歳以下」への不満
再就職先がなかなか決まらない元会社員(63)は語る。「体力は関係ない仕事なのに募集の年齢制限『49歳以下』と書くのはなぜなのか。大学生の就活は社会問題だけど俺たちの再就職問題にも関心を持ってほしい」
●年収は「5分の1以下」に激減
もし、採用されたとしても条件面には相当な覚悟が必要だという。大手電機メーカーを定年退職して、清掃業に再就職した65歳男性がいう。
「800万円の年収が5分の1以下になった。長年の経験値を生かせる仕事とは思えないし、立ち仕事に慣れていない僕には厳しいね」
※週刊ポスト2011年2月25日号