学生たちは就活の「答え」をどこに見出せばいいのか、もがき苦しんでいる。しかし、彼らの思いとは裏腹に、企業側の採用担当者たちは、「学生は努力の方向性を間違えている」と感じていた。現役就活生の声を数多く知る大学ジャーナリスト・石渡嶺司氏の司会のもと、採用担当者がホンネを明かした覆面座談会で語られたこととは……。
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アパレル:面接をしていて最近多いのが、サークルの責任者だという話。
外食:そうそう。なぜか、サークルの「副部長」が多い。
アパレル:うちもですよ!「副部長」ばっかり。ヒラだと格好がつかないけど、部長はやってないから……ですかね。
――学生たちからすれば、少し大げさに言っているだけかもしれません。そういうのを彼らは“盛る”と表現しますが……そんなのはプロからすれば、お見通し。
アパレル:失敗したくないという思いからか、みんな“武装”していて、準備された答えを口にする。出てくるフレーズは「行動力」「コミュニケーション力」「貢献します」「人の笑顔を大切にする」……。
一同:(大きくうなずく)
アパレル:だからどんな学生なのかを知るために、タマネギの皮をむくみたいに手間がかかる。それってお互いにとってマイナスですよね。
出版:面接で「これを言わなきゃ」って思い込んで来ちゃう。悪いことではない。でも、現場では関係ない話になることもある。例えば、履歴書に書いてある住所が面接官の自宅と近かったら、ご近所話になったりもする。ところが、単なる雑談ができずに「実は地域おこしのガイドの書籍を作りたい」と焦って自己PRにつなげてしまう。そういう学生に限って、書類には「コミュニケーション力があります」と書いてある……。
※SAPIO2011年3月9日号