学生たちは就活の「答え」をどこに見出せばいいのか、もがき苦しんでいる。しかし、彼らの思いとは裏腹に、企業側の採用担当者たちは、「学生は努力の方向性を間違えている」と感じていた。現役就活生の声を数多く知る大学ジャーナリスト・石渡嶺司氏の司会のもと、採用担当者がホンネを明かした覆面座談会で語られたこととは……。
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――公の場で言うのを避けていることってありますか?
アパレル:例えば、説明会って実は予約していた学生の7割くらいしか来ないんです。だから50人程度の会場だったら80人の応募をかける。
外食:常識ですよね。予約の5割しか来なくて落ち込む担当者もいた。
アパレル だから、抽選に外れても、例えば事前に「キャンセル待ちしたい」と連絡して当日会場に来る学生は、入れてあげることができる。
出版:そういう前向きな気持ちは「買い」ですね。
アパレル:でも、これも公言すると「抽選で外れた説明会の会場に行くと、行動力のアピールになる」とマニュアル化しそうで……。
――本当に説明を聞きたいなら歓迎。でも“ためにするアポなし訪問”は御免だと。ところで、大学名って気にしていますか? 学生は「学歴フィルター」の言葉に敏感です。
アパレル・外食:(同時に)うちはありません。
出版:うちも全くないです。総じてマスコミ系企業は早稲田OBが多いが、それは受ける学生が多いから。OBがたくさんいれば、情報収集がしやすいという意味で有利でしょうけど、結局人脈や情報をどう生かすかは学生次第です。
アパレル:ただし、採用活動全体で言えば、学歴フィルターは存在します。ここだけの話ですが、ナビサイトの中には、登録している学生のうち、大学名で選別して説明会や選考の案内を送ることができるものがあります。でも、ある企業が「うちは学歴フィルターはありません」とアップしたらサイト運営者側から削除依頼が来た。「学歴フィルターはそもそも存在しないので、そういうことは書かないでほしい」と。
外食:だったら、なぜ大学名で選別できる機能が用意されているのか、と言いたくなる。
アパレル:これは採用する側の問題です。「存在しない」というウソをつくことで、学生に勘違いをさせてしまう。有名大学の出身者なら各界にOBコネクションがあるから、そういう大学の学生しか採らない、という採用方針だってあり得る。
※SAPIO2011年3月9日号