【書評】『モーツァルトの脳』(ベルナール・ルシュヴァリエ 藤野邦夫 訳/作品社/2520円)
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モーツァルトが天才音楽家であったことに異論はないだろうが、〈かれは多くの並はずれた音楽情報を符号化できただけでなく、より尋常でないことに、それらを長時間のあいだ完全に貯蔵し(中略)、のちにペンや楽器を介して再構成できた〉。
つまり記憶力をはじめ脳そのものが特殊であったという。神経心理学の教授であり、教会の正オルガニストというキャリアを持つ著者が、脳科学にまで踏み込んで天才の秘密に迫った欧州で話題の書。
※週刊ポスト2011年3月4日号