「最近、またトレードのスタイルが変わりました」
こう話すのは、「月100万円稼ぐ子育てママ」として有名な、FX(外国為替証拠金取引)トレーダーの鳥居万友美氏。2007年にサブプライム・ショックが起きる以前、円キャリートレードが世界中の為替相場を席巻していた2006年頃から活躍を続けている「キモノトレーダー」の一人だ。
当時、カリスマ主婦トレーダーと称された人は何人もいたが、世界的な金融危機を経て、現在まで勝ち組として生き残っているトレーダーは数えるほど。正真正銘の「FX界のカリスマ主婦」といえる存在である。
「2009年までは、ローソク足の『5分足』を使って、1日に数十回トレードをしていました。1回のトレードで、10pipsから15pipsという小さな値幅をこまめに狙うスキャルピングという手法です。しかし、2010年に入ってから、トレードスタイルが大きく変わり、いまでは1日のトレード回数を減らしても、十分な利益を上げられるようになったんです」(鳥居氏。以下同)
鳥居氏は、この新しいトレードスタイルを、“ゆったりハッピートレード”と呼んでいる。そこに至るまでの彼女のFXトレード遍歴を簡単に紹介しよう。
「私がFXを始めたのは2006年2月。子供も生まれ、これからは女性もある程度の経済的自立をしていかなければならないと考え、子育てしながらでも行なえるという理由で始めました」
その思惑通り、当時の大きな円安トレンドに乗って、スタート3か月で400万円以上の利益を上げた。しかし、その後、急激な円高によって500万円以上の損失を出すことに。「いずれまた円安に戻る」という、初心者が陥りがちな根拠のない思い込みで、損切りが遅れたため損失が膨らんだのだった。
「それからです、FXを真剣に勉強したのは。本やセミナーでチャートの見方を覚え、損切りを徹底し、そして、トレードの記録を付けて自分のトレードスタイルをつかもうとしました」
そうした努力が実を結び、FXを始めてから1年足らずで、月100万円の利益をコンスタントに上げることができるようになったという。そのときのトレードはというと、1時間足と15分足をメインに、有名なチャート法則である「グランビルの法則」をベースにしたシンプルな手法だった。
しかし、このトレードスタイルでは、パソコン画面を数時間にらんでいても、トレードのサインが1回も出なかった日があった。子育てが忙しい時期でもあり、トレードの頻度を上げ、時間を効率よく使うために、もっと短い時間のローソク足を使いたいと考えた結果、たどり着いたのが「5分足トレード」だったのである。
「でも、取引回数が格段に増えた結果、どんどん眼精疲労や肩こりがひどくなってしまって……。ずっとチャートを凝視し続けるわけですから(笑)。これでは、疲労もたまり、結局は自分の使える時間がなくなってしまうことに気付いて、再び、新しいやり方を見つけようと試行錯誤をすることになったのです」
鳥居氏が「ゆったりハッピートレード」を確立するまでには、3度の大きな転機があったのだ。
※マネーポスト2011年3月号