国内

創価学会のフェスティバル 組体操・バレエ・創作ダンス披露

 社会学の祖と呼ばれるエミール・デュルケムは、宗教儀礼の特徴をその「集合的沸騰」状態にあると指摘し、儀礼がその集団の連帯を維持・強化する重要な役割を果たしていると記した。歴史の浅い新宗教の儀礼であれば、なおのことだ。創価学会の大文化祭もまさにこれに当たる。慶應義塾大学准教授の樫尾直樹氏が解説する。

 * * *
 場所は、横浜アリーナ。体の前面は白、背中は赤という体操着を着た青年たちがアリーナ中央に集結し、組体操を披露している。その数、ざっと数百人。

 オーケストラの音楽をバックに、3段からなる人間の塔を完成させ、最上段にいる男がジャンプし、空中に舞う。下で男たちがキャッチし、観衆から歓声が上がる。アクロバティックかつ統率の取れたアクションが繰り広げられる度に、赤から白へ、また赤へと体操着を着た群衆の織り成す色が変化していく。

「太陽の仏法に照らされた歓喜のうねりが、幾重にも連なっていく。そして新時代への開幕を告げて今、青年たちは高らかに凱歌の声をあげる」

そうナレーションが入り、“一人の男性”が青年たちに惜しみない拍手を送る。この男性こそ、池田大作・創価学会名誉会長である。これは「創価学会創立60周年記念大文化祭」の模様を記録したビデオテープの映像だ。

 創価学会は1930年11月18日に創設された新宗教団体で、現在では信者数・公称827万世帯にのぼる。「創立60周年記念大文化祭」は、その大教団が1990年に開いた信者たちによる一大セレモニーであり、札幌・高松・福岡の各会場に集まった信者に向け、横浜から同時中継された。
 
 創価学会では組織を世代別などに分類している。例えば「青年部(40歳未満の会員)」や「婦人部(既婚または40歳以上の女性)」などのように、いくつかの性別・年齢階梯(かいてい)を設けている。これらの組織に所属する信者たちが、日頃練習を重ねてきたダンスや歌を披露したのだ。

 冒頭の組体操は「大文化祭」の終盤の演目だったが、そこに至るまでにも、信者たちによる実に様々な演し物が披露されている。

 白いドレスに身を包み、頭上にティアラ風の髪飾りを載せた数十人の若い女性たちによるバレエや、中高生の創作ダンス。幼い子供たちが七色の風船を手に歌いながら踊る演目では、池田氏自らが手でリズムを刻む様子も映し出された。各年代が演目ごとに、真剣な取り組みを見せている。

 クライマックスでは、池田氏が立ち上がり、ボタンを押す。それと同時に、アリーナ内に花火が打ち上がり、そこから、会場内の信者たちが右手を勇ましく振りながら教団内での愛唱歌『人間革命の歌』を熱唱歌いながら感極まって涙を流す信者の姿もあり、歌い終わると皆が両手を挙げて沸き立つ。

 最後は池田氏の言葉で締めくくられる。

「会社のほうも学校のほうも立派に頑張っていただくことを、私はお願いしたい。これ(大文化祭)は夢みたいなものだから。現実は厳しいから。現実に勝つための文化祭であるということをお願いしたいと思います。今日は本当にありがとうございました」――若い男女が跳びはねて肩を組み、ウェーブが起こり、フィナーレを迎える。

※SAPIO2011年3月9日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン