夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが漫談家の綾小路きみまろに、メールや手紙で続々と寄せられている。今回の報告は、住宅メーカー勤務のご主人(51歳)。今年は奥様(49歳)も花粉症の仲間入りをしてしまいました。
* * *
花粉症はうつったりしないのに、「アナタからうつったのよ! クシュン!」と文句をいう女房。「私は田舎育ちで花粉には免疫ができていたはず。でも毎日、アナタと一緒に生活しているうち、その免疫も役に立たなくなってしまったんだわ、クシュン!」。クシャミを連発しながらその主張を曲げません。
ある時、鼻に突っ込むタイプのスプレーを見つけて、「優しいところもあるのね。私のために買ってきてくれるなんて」と、新品だと思って使った女房。僕が「さっき使ったばかりだけど、効くだろ?」というと、「ギャー! アナタの花粉症の菌が鼻から体中に蔓延して、私、死んじゃう!」。のたうちまわったあげく、「今後は私の2メートル以内に近づかないこと!」と、ストーカー禁止命令のような宣言をされてしまいました。
ただ、女房は乾燥肌のため、毎晩、背中を掻いてあげるのが僕の役目。「孫の手で掻いてよ」というので、「直接でいいだろ? 背中を向けて掻くから、顔に息もかからないし」と文句をいうと、「ダメ! アナタって、付き合っていた頃、背中を向けている私を無理やり振り向かせて、よくキスをしてたもん!」だって。おいおい、それは25年前の話だろ。今のようにシミもなかったし、背中の幅も今の半分だったよ!
※週刊ポスト2011年3月11日号