動物はただ本能にまかせて交尾しているだけと考えがちだが、旭山動物園(北海道旭川市)の元園長・小菅正夫氏によれば、それは誤りだ。
「動物の生殖は実に緻密で、しかも愛情も細やかです。たとえばオスとメスで3倍の体格差があるオランウータンの場合、体重50kgのメスは140kgもあるオスが怖くて仕方ないのです。 そこでオスは、メスに威圧感を与えないよう背中を見せ、自分の長い毛で注意を惹きます。メスが毛を触ってきたところで、驚かせないようにそ~っと抱きしめる。オランウータンのオスは、そういう配慮がないとモテません。
あとはカバ。体重3トンもあるカバのオスは水のなかに入ると、メスを押しつぶさないよう浮力を使います。汚い水が膣口に入らないよう、ペニスがキレイな花びらのように開いていき、3段階で膣口を塞ぐ。メスを守りながら行為に及ぶんです。それはもう実に美しい」
オランウータンやカバにも、生殖行為を通じた愛情の交歓があるということだ。
※週刊ポスト2011年3月11日号