おぐにあやこ氏は1966年大阪生まれ。元毎日新聞記者。夫の転勤を機に退社し、2007年夏より夫、小学生の息子と共にワシントンDC郊外に在住。著者に『ベイビーパッカーでいこう!』『魂の声 リストカットの少女たち』などがある。おぐに氏が、米国のドライブスルーについて解説する。
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アメリカ人って、車から降りたがらない人たちなんだろうか。 昼食時や夕飯時、普段は混むはずのない道路が妙に渋滞していたら、間違いない、マクドナルドのドライブスルー渋滞だ。観察して、ビックリ。店内はガラガラじゃーん。なのに、ドライブスルーの注文窓口には……車が30台以上も並んでるっ!
「アメリカ人って、どうして車を降りようとしないわけ?」。友人たちに聞いて回ったら、口々に反論された。「ファストフードを食べる僕らが、車を降りるヒマを惜しむのは当然だろ」「だって、ドライブスルーは便利だもの。車を降りるのって、なんか面倒なのよね~」
でもねえ。車を降りて、店内で注文すれば、わずか5分でハンバーガーが出てくると思うんだけど。それを、わざわざドライブスルーの行列で、なぜ30分近くも車の中で待つのかね。一人客が「店に一人で入るのもなあ」っていうならまだ分かる。でも、夕飯どきに家族全員でマクドナルドまでやってきて、車の中で押し合いへし合い待つのって、なぜ? どうせなら、店内で家族団らんしなさいよーっ!
他にも、コーヒーショップとか雑貨屋とか酒屋とか、全部ドライブスルーだ。中でも、全米で一番有名なのは、ラスベガスにある教会の結婚式ドライブスルーだ。リムジンやバイク2人乗りで乗り付けて、車に乗ったまま神父にセレモニーをお願いして、誓って、キスして、記念撮影。出来上がった写真もその場でもらって、その間、ずっと車に乗ったまま、わずか5分足らず、だって!
※週刊ポスト2011年3月11日号
(「ニッポン あ・ちゃ・ちゃ」第135回より抜粋)