ライフ

「飲んで歌って笑って遊べば免疫力が上がる」と免疫学教授

 1~2月に爆発的な流行を見せたインフルエンザ。今年は新型、季節性のいずれも流行の恐れがあり、厚生労働省は全年齢に対して注意を呼び掛けている。一方、風邪の患者数も留まることを知らない。対策はマスクやうがい・手洗いか、ワクチンか――という状況の中、“免疫=NK活性”というキーワードがにわかに注目を集めている

 今年もインフルエンザが全国各地で猛威を振るった。国立感染症センターの発表によると、今シーズンは20歳以上の成人に罹患者が多く、6割以上を占めている。同時に風邪も流行。エスエス製薬のインターネットサイト「カゼミル」の集計によると、ツイッター上には風邪に関するつぶやきが約2万件も寄せられている(2月15日現在)。

「年間3~4回も風邪を引く人は、免疫力、すなわち“NK活性”が低下しているのです」

 順天堂大学医学部で免疫学を研究する奥村康教授は、こう話す。NK活性とは、血液に含まれるリンパ球の1種、NK(ナチュラルキラー)細胞のはたらきのこと。

「私たちの体では、毎日1兆個もの新しい細胞が作られますが、そのうちの約6000個は、突然変異を起こした不良品、いわゆるがん細胞です。また、外部から入ってきた風邪やインフルエンザなどのウイルスに感染した細胞もあります。

 NK細胞は、これらの“異物”を発見すると、速やかに破壊します。いわば、不良が本物のワルになる前に発見し、退治する“おまわりさん”のような免疫細胞なのです。そのはたらきが低下すれば、感染症にかかりやすくなりますし、がん細胞の増殖にもつながります」(同前)
 
 NK活性の低下には、3つの要因があると奥村教授はいう。

「第一の要因は“年齢”。50~60歳台になると、誰でもNK活性が低下します。第二は、“1日のリズムの乱れ”。NK細胞はホルモンの影響を受け、日中は活発にはたらきますが、夜は活動が低下します。つまり、生活パターンが不規則だと、NK活性は低下する傾向にあるのです。

 3つ目は“ストレス”。学生にとって試験はストレスですから、試験前になると風邪を引きやすくなります。また、動物実験でも、子を失うという重大なストレスがかかると、母親のNK活性が劇的に下がるという報告があります」(同前)

 誰もが望む、健康長寿。それを実現する方法のひとつとして、奥村教授は、“不良”になって、NK活性を高めることを提案する。

「NK活性を高めるにはまず、笑うこと。ゲラゲラ笑っているときは、頭の中が真っ白になりますね。二日酔いになるほど飲むのはダメですが、少々の飲酒はNK活性を上昇させます。カラオケで大きな声を出すのも有効です。自分を忘れるくらい、没頭できる趣味をもつこともいい。何よりも大切なのは、悩みを吐露できる友人をもつことです。

 人間誰しもストレスはありますが、それに縛られず、上手に息抜きをして、それを発散できる人こそが、NK活性を高めて、健康でいられる。茶目っけのある遊び人、つまり不良になることが、健康長寿の秘訣なのです」(同前)

 笑い、飲み、食べ、遊ぶ。そんな単純で、小さな幸せがNK活性を上昇させ、健康につながるのなら、こんなに楽な方法はない。最近、風邪を引きやすいという人は、まず不良を目指してみませんか?

※週刊ポスト2011年3月11日号

トピックス

山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン