モテる男とモテない男の違いは何か。動物学行動研究家の竹内久美子氏によれば、「シンメトリーな男(オス)ほどモテる」というのが結論だ。つまり、メスは体が左右対称なオスを選ぶというのである。
「私たちの体には対になっている部位がいくつもありますが、遺伝や環境の影響を受けて、なかなか完全にシンメトリーにはなれません。しかし、よりシンメトリーな個体ほど、環境からのストレスを受けていないか、ストレスへの抵抗力を持っていると考えられる。体がいかに左右対称かは、免疫力の客観的な“物差し”になりうるのです」
メスは生命の存続のために、より免疫力の高い、シンメトリーなオスを選ぶ。実際にどれだけシンメトリーかを目で判断することは難しいが、「実際に体のいくつかの部位の左右の違いを測ってみると、シンメトリーなオスほどメスからの引き合いが多いことがわかりました。これは人間でも同じです」(竹内氏)
例えばクジャクのメスは目玉模様の数の多いオスを選ぶが、それは目玉模様が多いほど配置もシンメトリーだから。ツバメのメスが尾羽の長いオスを選ぶのも、尾羽の長いオスほど左右の長さに違いが少ないからだ。では、人間のメスはどうやってシンメトリーを判断しているのか。
竹内氏は、一番チェックしているのは「声の良さ」だという。「声の評価の高い男性は総合的なシンメトリーの値が高いことがわかっています。かつて人間は夜の暗闇のなかで相手選びをしていた。その過程を通じて、女にとって、声が相手の男の免疫力を見抜くための情報になったのだろうと考えられます」
免疫力の高いシンメトリーな男の声を、女は「良い声」と感じ、その男に惹かれていくのである。
※週刊ポスト2011年3月11日号