受験生の数はリーマンショックの影響でやや減ったものの、依然“高止まり”の状態が続いている中学受験。6万人余の受験生に対し、私立中学の定員は約4万人。1人平均5~6校を受験するが、2万人以上がひとつの学校にも合格できない計算になる。もちろん、第一志望校にはいれるのはほんのひと握りだ。志望校に不合格となった親子には、厳しい現実が待っているケースもあるという。
最近では、受験当日の夕方にホームページで合格発表を行う学校も多い。Aさんは帰宅後、親子でパソコンの前に座って、受験した中学のHPにアクセスし、知らされていたID番号を入力、恐る恐るという気持ちで合格者発表ページを開いた。しかし、長男の受験番号は何度見ても表示されていなかった。
翌日は、同日、同時刻から入試が行われる第二志望校、第三志望校の両方に願書を出していたが、出願者数の多かった第二志望校をあきらめ、第三志望校を受験することに決めた。
「4日連続で受験しましたが、結局すべり止めの学校にしか合格できませんでした。息子は『友達に結果を聞かれるのが嫌だから、学校に行きたくない』といって泣いていました。私も他のお母さんたちにどう話せばいいのか、気が重くて買い物にも行けない状態が続きました」(Aさん)
すべり止めの学校への入学は不本意だったが、子供はその中学に「絶対行く!」といい張った。中学受験をしたことは、クラスのみんなが知っている。失敗して地元の中学に行くのは恥ずかしくて耐えられなかったのだ。
「学校には受験失敗組も何人かいて、息子はしだいに吹っ切れたようです。でも、私はいまだに引きずっている。3年間、子供の勉強にかけてきたエネルギーと、投資してきた金額を思い起こすと、脱力感に襲われてしまう。『こんなことなら5年生のときに塾をやめればよかった』とか、『もっと子供の能力を冷静に見極めるべきだったかもしれない』と、後悔ばかりしてしまう。いまだに夜も眠れず、食欲もわきません」(Aさん)
長男が「もっと遊ぶ時間がほしかったなぁ」とポツリともらしたのを聞いて、返す言葉が見つからなかった。買い物は、いまでも近所のスーパーには行くことができず、知り合いのいない遠くのスーパーまで通っているという。
※女性セブン2011年3月17日号