「餞別(退職金)が協会から部屋に支給されたと聞いたが、ボクはもらっていない。額にして30万円ほどあると聞いています。でも、伊勢ヶ濱親方に聞いても、色々とはぐらかされて、結局もらえなかった」
そう語るのは、大関・日馬富士の元付け人である雷鳳(23)。2004年初場所に初土俵を踏んだが、2009年9月に引退した(最高位は三段目東50枚目)。協会から力士に支払われるはずの給金や退職金を、仮に部屋が着服しているとすれば、場合によっては刑事罰に問われる内容である。
本誌が協会にFAXで取材申請をしたところ、退職金未払いについては「事実ではない」との返答が寄せられた。しかし、翌日になって、編集部に前日の回答内容を訂正するFAXが届いた。内容は「支払いは、されております」というものだった。
協会の広報部に質した。「幕下の力士に関しては、協会は親方に退職金を支払います。今回の件は親方(伊勢ヶ濱親方)に確認したところ、本人に払っているということでした」
協会が、退職金が本人の元へ届いたか確認したのかを問うと、「親方に払ったという記録はある」と答えるのみ。この返答に対し、雷鳳が怒りを露わにした。
「やっぱりそうか、というのが率直な感想ですね。協会は幕下以下の力士を人間とも思ってくれていないんだと思います。何度もいいますが、ボクは退職金を受け取っていません。幕下以下の力士の給金は親方から手渡しでもらい、領収書に捺印する形式でした。退職金にも、そうした手続きがないとおかしい。協会には、親方がボクに渡した証拠はないようだし、親方の言葉を鵜呑みにしているだけなのでしょう」
※週刊ポスト2011年3月18日号