中東で起きた民主化デモの波が中国にも押し寄せている。果たして「ジャスミン革命」は起こるのか? 『習近平の正体』(小学館)の著者・ジャーナリストの相馬勝氏がリポートする。
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いまのところ、北京の集会予定地ではデモ参加者よりも外国人記者の方が多く、あとは中国人の野次馬だけで、本格的な騒乱が起きる気配は薄いようだ。
北京の政府高官は筆者(相馬)に対し、「デモの呼びかけはいたずらで、うその書き込みをして面白がっている愉快犯。社会に不満を抱いている若者の仕業だ。踊らされているのは外国マスコミとわれわれ政府関係者だ」と自嘲気味に語る。しかし、そういいながらも、「中国では野次馬が騒いだだけでも暴動に発展する。民衆の不満の暴発によるデモや騒動がアリの一穴になる可能性はある」と指摘する。
発端はチュニジアでも、エジプトでもリビアでも同じだった。現政権に不満を持った若者がデモを行ない、燎原の火のごとく瞬く間に拡大し、当局が手をこまねいている間に政権を倒すピープルズパワーが火を噴いたのだ。
中国でも若者を中心とする民衆の不満がいつ爆発しても不思議ではない。温家宝・首相が「2億人」と語る失業者。大卒なのに就職できない、あるいは低所得で甘んじている100万人の若者。1年で2倍以上に跳ね上がる食料価格に苦しむ庶民。都市住民の10分の1の低所得にあえぐ数億人の農村住民。厳しい弾圧に耐えるチベット族、ウイグル族ら少数民族――。デモの理由となりそうな不安定要因はいくらでも挙げることができる。
※週刊ポスト2011年3月18日号