各スポーツ紙に躍った「海老蔵 7月パパに」の大きな見出し。西麻布での暴行事件以来、無期限謹慎を続けている市川海老蔵(33)にとって、妻・小林麻央(28)の妊娠発覚は久々の明るい話題となっている。しかし、海老蔵は9年前から一人の女の子の「パパ」だった。決して表舞台に出ることのない“もうひとつの家族”は、幸せな海老蔵たちの姿をどう見つめていたのか――。
「娘には、何も隠さず全部きちんと話しているんです。あの人が結婚したことも、子供ができたことも……」
パラパラとみぞれが降りしきる肌寒い夕方だった。首都圏のとあるベッドタウンのマンションから姿を現わしたAさん(37)は、本誌の質問にこう答え始めた。かつて歌手として芸能界で活躍したAさんが、海老蔵との間に子供をもうけたのは2002年のことだった。しかし、Aさんが海老蔵に結婚を求めることはなかった。2人の間には「梨園の掟」が大きく横たわっていたからだ。事情を知る梨園関係者がいう。
「歌舞伎役者との結婚は、“家に入る”という意味が大きく、個人の恋愛感情だけでは到底認められないものです。一族の総意や贔屓筋の承認がなければ、子供ができたとしても決して結婚は許されない。
1997年には市川染五郎、今年に入っても片岡愛之助の隠し子が発覚しましたが、歌舞伎の世界では結婚のハードルが高い。一方で、芸事を極めるために多くの女性と付き合うことが半ば勧められてもいる。それだけに、隠し子がまかり通る土壌があるんです」
それから長い月日が経った。現在Aさんは、一般の仕事を持ちながら、9歳になる「海老蔵の娘」と2人で静かに暮らしている。麻央との結婚、そして妊娠……。各メディアで報じられる海老蔵夫妻の姿を「隠し子の母」は、どんな気持ちで眺めていたのか。Aさんは突然の直撃に驚いた様子を見せつつも、噛みしめるように少しずつ語り始めた。ダウンジャケットの下のスレンダーなプロポーションと整った目鼻立ちは、芸能界で活躍していた頃とほとんど変わらない。
「もちろん、お二人のことは祝福しています。(麻央の妊娠について)娘は“お母さんは違うけど、弟妹なんだ”って喜んでいるんです。娘には、小さい頃から父親のことは何も隠していません。父親がいないと子供はできませんから……。娘がしっかりと生きていくためには、小さい頃に自分を卑下することを覚えてほしくないんです」
※週刊ポスト2011年3月18日号