新天地となるオークランド・アスレチックスでメジャー9年目のシーズンに挑む松井秀喜(36)。アリゾナでキャンプを続ける松井の肉声を、スポーツジャーナリストの古内義明氏がリポートする。
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どこまでも澄み切ったアリゾナの青空に、緑と黄色が映える。子供の頃から憧れていたアスレチックスのユニフォームを着た松井秀喜が、ここ数年はなかったほど元気な姿で、メジャー9年目のキャンプをこなしていた。
「実は2005年に、アスレチックスにトレードされた夢を見ているんですよ。普段は夢をほとんど見ないほうなので、よく覚えているんです。夢の中で、『ああ、俺、ヤンキースからトレードされちゃったよ』って(笑い)」
ベストセラーとなった小説『マネーボール』で日本でも有名なビリー・ビーンGMは、得点力不足を補うためにいち早く松井獲得に奔走。その熱意を意気に感じた松井は、他球団のオファーも聞かずに入団を決断した。
世界一を経験した松井の加入は、平均年齢27.6歳という若いチームを刺激している。まだ4年と監督経験の浅いボブ・ゲレン監督は「日本メディアのおかげで毎日プレイオフのような雰囲気で練習できるのはプラスだ」と、5年ぶりのプレイオフ進出を見据えている。
「実際にチームに入ってみて、やはり若いと感じましたね。いい投手が育ってきていて、しかも若くていい抑えもいるので、投手陣は楽しみですよ。
今季は西地区のすべての球団に日本人選手がいますが、特別な感想はありません。ファンの方が楽しんでくれればいいので、そうなれるように頑張るだけです。ただ、巨人の後輩でエンゼルスに入った高橋尚成だけは、先輩を尊敬していないようなので、しっかり打ち込んでおきたいですね(笑い)」
撮影■藤岡雅樹
※週刊ポスト2011年3月18日号