現在、日本にある宗教法人の数は約18万。全宗教の信者数は合計すると、なんと総人口の1.6倍にもなる。そもそも数字は各法人の公称のため、割り引いて考えなければならないが、この国はすでに信者の「飽和状態」にあるようだ。そのため今、新宗教を中心に海外進出ラッシュが起きている。
ジャーナリストの角山祥道氏が報告する。
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ブラジル・サンパウロ市の郊外にある美しい湖、グァラピランガ湖。この畔に、世界救世教の聖地が竣工したのは、1995年のことだ。
東京ドーム85個分、約400ヘクタールという途方もない広さ。その中心には、高さ18メートルの円柱が神殿を取り囲むように建っている。「光の塔」と呼ばれる神殿71メートルの塔は南回帰線の真下にそびえている。
岡田陽一第4代教主が聖地グァラピランガを訪れた2009年11月には、この直径120メートルの神殿広場が、人で埋め尽くされたという。その数、2日間で6万人。その大半がブラジル人それも日系人以外のブラジル人が多数を占めていた。
世界救世教の信徒は、公称で国内83万人。海外はブラジルやタイを中心に50か国計125万人(300拠点)。すでに信徒数では、国外が国内を上回っている。
海外で受け入れられる。これは世界救世教に限ったことではない。他の新宗教各派も積極的に海外に進出し、それぞれ確固たる足場を築いている。以下、海外の信者数を列記しよう(数字はすべて公称、2011年2月現在)。
創価学会の海外会員数は、169万1000人。192か国・地域、800会館(国内は827万世帯)。
霊友会の海外信者数は、173万人。26か国、32拠点(国内は153万人)。
生長の家の海外信徒数は、110万2104人、布教施設309か所(国内は68万2054人)。
真如苑の海外信徒数は、9万3060人。15か国、39拠点(国内は88万7702人)。
この他にも、パーフェクトリバティ教団や天理教、崇教真光などが、積極的に海外に進出している。また驚くべきことに、世界救世教と同じく、霊友会や生長の家でも、すでに国外の信者・信徒数が、国内を大きく上回っているのだ。
比較的新しい幸福の科学(1986年設立)も、同様に海外に積極的に進出している。海外の会員数は100万人を超え、27か国に拠点を構えるという。
※SAPIO2011年3月9日号