大相撲会を大激震させた八百長騒動だが、過去に週刊ポスト誌では八百長について何度も報じてきた。そこで、過去、本誌に登場した複数の告白者たちの証言から、八百長の見分け方についてまとめてみよう。
たとえば、立ち合いで激しい突っ張りが繰り出されるシーン。いかにもガチンコのように見えてしまうが、本誌での初代告白者、四季の花はこう指摘した。
「立ち合いで、負ける側が相手の顔を張ることで気合いを示しながら脇を甘くして相手に差させるのが目的。あとは吊り出すだけです」
「吊り」は典型的な八百長の決まり手だ。派手な突っ張りの応酬もガチンコを装う常套手段。かつて中盆(八百長の仲介役)をしていた板井は見破るポイントについてこう語っていた。
「相手の突っ張りは本能的にいなそうとするものですが、それをまともに受け続けられるのは効果がないから。胸を下から突っ張るのではなく、肩のところを滑るように突っ張るのがポイントです」
突っ張りだけでなく、投げ技にも判別法がある。元・大鳴戸親方はこういった。
「技をかけるときに、腰が入っていないのに綺麗に決まれば八百長。『下手出し投げ』は、ガチンコなら下に向けて投げると同時に頭を押さえて決めようとするが、そんなに綺麗に決まることはほとんどない。ガチンコならむしろ『下手投げ』や『寄り倒し』のような力でねじ伏せる決まり手が多くなる。『河津掛け』や『うっちゃり』といった偶然の決まり手も注射(八百長相撲)ではない」
※週刊ポスト2011年3月18日号